カネミ油症について 平成18年06月08日(木)
谷川弥一が衆議院議員に当選したのは平成15年11月。
その後、地元五島市の未だ消えぬ「カネミ油症」に関する問題に直面する。
仮払金に関する問題。責任企業であるカネミ倉庫の賠償金不払い。何よりも現在、依然として苦しんでおられる被害者の方々の苦しい生活の現状。これらの事実を確認したのが当選直後である。 その後、自由民主党幹事長、政調会長に申し入れを行い自民・公明による勉強会を設立した。この件が与党間の政治課題として取り上げられ与党プロジェクトチームが設置された。これがこれまでの流れである。
この問題のポイントは以下の通りだ。
(1)和解によって国への訴えが取り下げられていること。
(2)カネミ倉庫が責任企業として被害者に対しての支払い能力がないということ。
(3)農林水産省からの仮払金が和解によって返済が求められている事。
「本件の第一目的はカネミ倉庫に和解を履行させることである。裁判によって和解が成立し、国への訴えが取り下げられている以上、国は国民の税金によってまかなわれている国費を被害者に充てる法的根拠がない。患者の多くは仮払金を生活費や医療費で使ってしまい現在の債務者の多くが無資力またそれに近い状態と考えられる。子孫に返還債務が相続されることを望まない声があることなどが指摘されている。そういった実情に鑑み、新規立法による債務の免除等を検討することは政治解決の選択肢の一つであると認識している。」以上が自由民主党PTメンバーの議論の流れであった。
しかしながら、そのメンバーであり五島の実情を知る谷川は異論を唱えた。
「全ての理屈は知っている。しかしこの企業ではどうしようもないじゃないですか。どうしようもない企業に責任があると言って、今を生きる患者をそのままにはできないでしょう。それぞれ立場のある先生方ばかりでしょうが、分かってくださいよ苦しんでいるんですよ。大変なんですよ被害者の方々は。今も。」仮払金については「政治解決の選択肢」としての認識が深まり前進したものの、治療費の救済など被害者の現状を打開する手段については今だ「法的根拠」を上回るものを生み出せないでいる。それらの議論に移ろうとしない自民党議員に怒りを爆発させた。各省の答弁は法律の範囲内が当たり前、それを越えた判断、決断を下すことが政治家の役目である。直接被害者の声や現状を目の当たりにしてきた谷川には、救済を軸に議論を重ねていくことを早くはじめるべきという強い信念がある。「今、困っている人を今、救うことが政治家の役目。」こう強く訴え、自民党の流れとなりそうであったこれらの基本認識を差し戻した。農林水産省・厚生労働省・環境省と3省にまたがるこの案件。様々な点でコンセンサスを図ることが難しい案件であるが、谷川が与党である自民党幹部に必死に申し入れをし、実現したこのプロジェクトチーム。自民党は我が国全体を見渡さなければならない与党であるが為に、民主党のようにこの件の被害者だけを向いて無責任に不可能な政策を打ち出せない。しかし、この件は自身が受けた要望である以上、何としてでも解決させるという揺るぎない決意が谷川にはある。「自民党が動かなければ国は動かない。どうしようもない実情は政治家が打開する。」烈火のごとく自民党の意識改革に取り組んでいる谷川の姿は新聞報道では知ることはできないが今日も続いている。